児童発達支援「和音」
長谷川 高徳
一人ひとりの「できた」を、親子の笑顔につなげたい

自分が信じる支援を形にするために——和音を立ち上げるまで
Q. この事業を始めたきっかけを教えてください。
これまで、児童発達支援や放課後等デイサービスで経験を積んでまいりました。その中で「こういう支援をしたい」という思いが明確になっていったことが、事業を始めたきっかけです。
以前の事業所で行っていたような視覚的な支援や行動観察も大切ですが、子どもたちと関わる中で、感覚や身体の状態など、背景にある要素を含めて総合的に考える必要性を感じるようになりました。
自分が必要だと信じる支援を形にし、実践できる場所をつくるため、児童発達支援事業所を立ち上げました。
Q. 起業を決意したのは、どのようなときだったのでしょうか。
「この瞬間に決めた」という、はっきりとした出来事があったわけではありません。
経験を重ねる中で自分の考えを言葉にし、周囲にも説明できるようになったことで、「これなら自分でもやっていける」と少しずつ自信を持てるようになったことも起業への後押しとなりました。
“自分が必要だと信じる支援を形にし、実践できる場所をつくるため、児童発達支援事業所を立ち上げました。”
「伝えたつもりでも伝わらなかった」——支援の原点になった気づき
Q. これまでの人生で、最も大きな転機は何でしたか。
最初に就職した児童養護施設で、自閉症のある子どもたちと関わった経験です。
それまでの自分の関わり方では思いが伝わらないことがあり、「今までのやり方だけでは駄目なのだ」と痛感しました。目の前の子どもに伝わらないなら別の方法を考えなければならないというこの気づきが、現在の仕事につながる大きな転機となりました。
Q. その経験は、現在の支援や事業所の運営にどのようにつながっていますか。
「伝えたつもりでも伝わらなかった」という経験があったからこそ、一つの方法に固執せず、支援の引き出しを増やすために多くを学ぶようになりました。
また、子どもがある行動をしたときに行動だけを見て終わるのではなく、「なぜこの行動をしているのだろう」「何か伝えたいことがあるのではないか」とその背景や理由を考える姿勢も身につきました。
Q. 仕事をするうえで、影響を受けた人物はいらっしゃいますか。
以前働いていた事業所のトップの方です。
支援に対する考え方やこれからの取り組みに共感する部分が多くありました。また、その方がどのように学んでいるのかという姿勢からも大きな影響を受け、私自身の成長につながっていると感じています。
“一つの方法に固執せず、支援の引き出しを増やすために多くを学ぶようになりました。”
年下の子と遊ぶことが好きだった子ども時代
Q. 子どもの頃は、どのような性格でしたか。
自分の中では、人見知りで少し引っ込み思案なところがある子どもだったというイメージがあります。
その一方で、感情表現がストレートになり周囲と衝突してしまうこともありました。人との関わりが得意でいつも輪の中心にいるようなタイプではありませんでしたが、広く浅く、自分のペースで関わっていたと思います。
Q. 現在の仕事につながるような、子どもの頃の経験はありますか。
小さい頃から、自分より年下の子と遊ぶことが好きでした。
また、中学生の頃に自閉症を題材にした『光とともに...』という漫画を読んでおり、就職後に自閉症のある子どもたちと関わる中で、「漫画で読んだのはこういうことだったのかな」と作品の内容を思い出し、リンクすることがよくありました。
“小さい頃から、自分より年下の子と遊ぶことが好きでした。”
ご家族と一緒に通える場所——児童発達支援「和音」
Q. 児童発達支援事業所「和音」について教えてください。
児童発達支援「和音」は、就学前のお子さんがご家族と一緒に通える児童発達支援事業所です。
支援の時間を通じて、お子さん自身が「できた」と感じるだけでなく、ご家族にも一緒に支援を見ていただくことで、お子さんの気持ちや伝わりやすい関わり方を知っていただく機会になればと考えています。
Q. 支援の中で大切にしている考え方を教えてください。
基本的には、お子さんを最優先に考える「子どもファースト」の姿勢です。
保護者の方からのご要望も大切にお聞きしますが、お子さんの行動の背景に別の思いがあると感じた際は、「お子さんの行動からはこう見えます」と丁寧にお伝えするようにしています。
大人の目線だけで支援の内容を決めるのではなく、目の前のお子さんが何を感じ、何を求めているのかを考える姿勢は、これからも大切にしていきたいです。
“大人の目線だけで支援の内容を決めるのではなく、目の前のお子さんが何を感じ、何を求めているのかを考える姿勢は、これからも大切にしていきたいです。”
一人ひとりに合わせた「オーダーメイド」の支援
Q. 和音の支援には、どのような特徴がありますか。
さまざまな考え方をもとに、一人ひとりのお子さんに合わせて支援方法を組み合わせる「オーダーメイド」のような支援が特徴です。
視覚的な支援が合うお子さんもいれば、感覚や身体からのアプローチが合うお子さんもいます。決まった方法を当てはめるのではなく、その子にとって最も分かりやすく、取り組みやすいスケジュールや方法を組み立てています。
Q. 特に力を入れている支援はありますか。
お子さんが「コミュニケーションを取りたい」と思ったときに、自分から発信できるようにする支援です。
周囲の大人が先回りして動いてしまうこともありますが、自分の思いを発信することは子どもにとって非常に大切な力です。そのため、お子さんに合った伝え方を見つけ、「伝えたい」という気持ちが実際の行動につながるようサポートしています。
Q. 支援をしていて、どのようなときに仕事の魅力を感じますか。
お子さんが何かをできるようになり、「できた」と笑顔になってくれたときや、保護者の方から「子育てが楽になった」「子どもとコミュニケーションが取れるようになってきた」といったお声をいただいたときです。
お子さんの成長が、ご家族の安心や子育てのしやすさにつながっていく変化を感じられることが、この仕事の大きな魅力です。
“決まった方法を当てはめるのではなく、その子にとって最も分かりやすく、取り組みやすいスケジュールや方法を組み立てています。”
温かなハーモニーが響く場所に——理念とチームづくり
Q. 大切にしている理念や、和音という場所に込めている思いを教えてください。
人と人とのつながりの輪の中で、笑顔が育まれる場所にしたいと考えています。
子どもの成長を保護者の方と一緒に見つけ、喜び合うことで、親子の間に温かな関わりが生まれる。その温かなハーモニーが響くような場所を目指しています。お子さん、ご家族、スタッフが一つにつながり、一緒に成長を見守っていける関係性を築いていきたいです。
Q. スタッフと接するうえで大切にしていることは何ですか。
日頃からのコミュニケーションを大切にしています。
スタッフが支援で迷った際や困りごとにしっかり応えられるよう、代表である私自身も学び続ける姿勢を大切にしています。一人ひとりに合わせた支援を行うためにも、スタッフ同士で考えを共有し、一緒に考えていける環境づくりに努めています。
“人と人とのつながりの輪の中で、笑顔が育まれる場所にしたいと考えています。”
これから——ご家族と一緒に、成長を見守っていくために
Q. 今後、どのような事業所を目指していきたいですか。
まずは、和音を利用してくださる方たちが安心して通え、お子さんの成長を実感してもらえる事業所にしたいです。
多くの方に必要としていただける事業所を目指す一方で、利用人数が増えても、一人ひとりへの手厚く丁寧な支援の質を決して落とさないよう心がけていきます。ご家族にも安心して長く通っていただける場所であり続けたいです。
Q. 最後に、和音を利用しようと考えているご家族や読者の方へ伝えたいことをお願いします。
和音では、決まった一つの方法にお子さんを合わせるのではなく、「なぜこの行動をしているのだろう」とその理由を考えながら、一人ひとりに必要な支援を組み立てていきます。
お子さんが「できた」と笑顔になり、保護者の方にも「子育てが少し楽になった」と感じていただけるよう、ご家族と一緒に成長を見守っていきたいと思っています。
人と人とのつながりの中で笑顔が育まれ、温かなハーモニーが響くような事業所をこれからも目指してまいります。
“お子さんが「できた」と笑顔になり、保護者の方にも「子育てが少し楽になった」と感じていただけるよう、ご家族と一緒に成長を見守っていきたいと思っています。”